晴輪物語 7 かくご

観光

男は探検に出る前に考えていた。

これから先のことを。

正直、自分が救助されて元の生活にもどれるとは考えていなかった。

もうそこはあきらめていた。

最初に見上げた夜空にその希望は吸い取られてしまった。

 

ではどうするのか。

生き残ることが第一目標である。

そのためには現状把握が最も大切だ。

そして自分の生活を豊かにしていくことも必要だと思う。

だって備えや蓄えや色々と揃ってないと、身を守ることもできない。

戦う術がない。身を守る方法がない。

 

探検をすることで、現状把握ができると考えていた。

無知は罪である、特にこういう状況では。

あきらめて座り込んだそのすぐそばに、川が流れていることだってある。

水は探し続けなければ見つからない。

 

地道こそが近道である。

急に冷蔵庫やテレビが得られ、快適なソファでおいしい食事が取れたら苦労しない。

これを実現するのは背伸びをするのではなく、地道に積み上げていくことが重要だ。

 

つまり、文明をたどるのである。

幸い歴史は少し知っている。

石器時代から急にインターネットは作れない。

 

石器時代を模倣する。

ここで生活の基礎を作る。

石を削り、自然と共に生き、この世界を知る。

美しい剣を作る技術なんぞ突然得られない。

 

あれは、何千年と積み重ねられてきた研鑽の上に成り立つものだ。

男は生き残るために、地道な努力をすることを決めた。

 

これを繰り返していくことで、いつかとんでもないものを生み出せると信じている。

多少なりとも歴史を知っているのは、ある意味とても強い。

 

知っている知識・経験を総動員して、男は生きようとする。

どんなに時間がかかっても、生き残ってみせる。

まずはそれからなのだ。

 

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