晴輪物語 9 いたい

観光

男は整理する。

探検に出てからなんやかんやで10日は経つ。

 

最初の予定だと、男は島を一周する気でいた。

そうすれば、島の形がわかるだろうと。

 

仮にこの島が丸いとしよう。

そして男が目覚めた場所を、時計でいえば3時とする。

そして3時から2時の方角へ、つまり北へ海岸沿いに歩いてきた。

船を見つけ、捜索し、骨を集め、運び、穴を掘り、埋め、花を集め、手向ける。

このあたりの作業で4日はつかった。

1人では体力にも限界がある。

 

その後歩き続けて、いま、おそらく1時あたりである。

つまり10日で3時から1時である。

まあ寄り道かなりしてるしいいか、と無理やり納得する。

 

男は効率がどうとか一応考えることはあるが、行動が伴っていない。

かなり好奇心がある。

新しいものを見つけるとすぐに足をとめる。

まあこんなもんなのだろう。

食事と寝床を確保しつつなのがつらいところだが。

幸い、船の残骸から、ボロいが布やらなんやら見つけた。

これでかろうじて生きていけるだろう。

 

男は12時のほうへ島の海岸を歩いていく。

そもそも、島と呼んでいるが、実際島という自信はない。半島かもしれないし、大陸かもしれない。

 

男はワクワクしている。

 

地面に生えている草は雑草が多い。

 

ここには美しい花はなさそうだ。

実り多い3時のあたりと比べると、2時から12時にかけてはずいぶんとさみしい。

草木がほとんどない。岩だらけだ。

内陸部もサバンナというか、下草がまばらに生えているだけ。

お墓を作ったあたりは草原みたいだったが、風がずっと吹いているむき出しの黄色い丘だった。

 

こうなると苦労するのは食料である。

 

蛇がいれば上々。基本はカエルやクモだ。

まずい、とにかくまずい。

 

とその時、久しぶりに緑をみた。少しずつ背が高くなり、緑が増えていく。

まばらに木も増えてきた。ようやくか。

 

俺もついているな、と男はにやける。

 

急に草が生い茂り、遠くには森も見えてきた。極端な自然だな。

 

やっと安らげる場所を見つけた。

 

大きめの木の下に腰を下ろす。

深呼吸をする。

ぼーっと木々の並びを眺めていると、その先に見覚えのあるものが目に入る。

 

ばっと立ち上がり、そばへ行く。

 

この木の後ろだ、走って回り込む。

 

人影に見えたそれは、布を被った骨だった。

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