だんだん生活に慣れ、道具もそろってきた。
本日は少し遠出をしてみようと思う。
数日分の木の実を葉っぱに包み、蔦に通して肩から掛ける。
現状湖周辺はだいたい把握できている。
起伏がなく、ただただ広がる森。
原生林とでもいうべきか、好き勝手に生命が芽吹いているようだ。
そろそろ行動してもいいかもしれないと男は考えていた。
何をするのか、探検だ。
ここが別の世界である以上、単純に助けを待つだけではいけない。
助けてくれたところで、そいつらが人間なのかそうでないのかすら怪しい。
下手したら助けられるほうが命の危険度が高い可能性だってある。
だとすれば、備えるべきなのだ、知識を、経験を、情報を、、、
ここがどんなところで、どんな世界なのか、
そのためにはまず、自分が立っているこの場所を把握することからである。
幸い、適当な知識でもサバイバルは可能だった、人間やればできるもんだ。
今日は自分が目覚めた海岸に向かう、そしてその海岸沿いを探検する。
もしかしたら何かヒントが残されているかもしれない。
準備を整え、男は出発した。
海岸までの道は、案外すんなりたどり着いた。
道中、最初の住処としていた小さい洞窟を除いた。
獣か風か…持っていた葉は散っていて、名残りがあったのみだった。
この辺で、月が二つあることに気づいたんだよな…男は懐かしむように空を見上げる。
割と前の出来事だが、男にとっては昨日のことのようだった。
あの時の衝撃は忘れることはないだろう。
気を取り直して海岸へ向かう、この辺だ、うんうん。
ただの海岸だった。遠く地平線には島一つない。
海岸を北に向かう。
しばらく歩くと砂浜の海岸が減っていき、砂利が増えてきた、
砂利はだんだん大きくなり、石は岩が増えていく。
北は岩場なのか…男はつぶやく。
自分の身長を超えるくらいの大きな岩がちらほら出てきた。
緑は減り、白っぽい灰色の岩場が続く
ふと内陸側に目をやると、崖のような岩壁が立っている。
波の浸食で削れていき、ここは岩場になったのか…
男は想像を巡らせる。
とそこで男は視界に飛び込んできたものに呆然となる。
船だ。
帆船である。
ただ船はかなり朽ちており、帆もボロボロ、船体も黒ずんでいて、かなり崩れている。
もちろん人はおらず、樽やら木箱やらが散乱している。
はるか昔に、座礁か何かでここに打ち上げられたのだろう。
だが初めて文明らしいものに男は出会った。
幸い浅瀬なため、男はバシャバシャと海に入り、ボロ船をあらためようとする。
木は相当古い。踏んだだけでみしみしと砕ける。
なにか使えるものはないか。そしてこの帆船からこの時代、この世界の情報はないか、、、
現時点で想定できるのはこの世界は地球でいうと、帆船が使われている時代に近い文明レベルなのか
でも森で見た金属植物や金属生物の説明がつかない。あれが人工物でなくて何なのだろうか。
などとぶつぶつ言いながら、男は船内に入っていく。
船内もだいぶ痛んでいる。
ところどころに穴が開いていて、ずいぶんと風通しがよい。
いったい何年前に座礁したのだろうか。
割れたランプ、砕けた食器、などを見つけた、食事用のナイフや、
台所らしき場所では本物のナイフを回収できた。あと鍋もだ。
持って帰るのが面倒なので、小型の鍋にしよう。結構さびているけど。
いやむしろこの辺に住処を移すべきではないか。
船内はいつ崩れて埋もれるかわからんので外にしよう。
と、出口を探すうちに、重そうな金属の枠がついたドアがあった。
文字は読めないが、これはきっと大事な部屋なのだろう、、
扉を開ける。
そこは牢獄だった。
区画ごとに檻があり、中には骨が散乱していた。
ここから出られずに死に、そのまま朽ちてしまったのだろう。
これは罪人を運んでいた船なのだろうか。
とするとここは、流刑地?
いやまだわからない。結論を出すにはまだ早い。
結構たくさんの遺体がある。というかみんな骨なのだが。
さっきスコップあったし、本格的に研究する前に
かわいそうだからみんなを埋葬してあげよう。
檻はさびていて、簡単に壊せた。
人としての形を保っている骨から順番に一人ずつ丁寧に集めていく。
普通に人間の骨だな…子どものようだ。しかもけっこういる。
と骨を拾っていくと、男は気づく、骨盤の骨のはずだが
しっぽの骨があった。

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