晴輪物語【始記】28 高原

観光

男の偵察の旅は続く。

おそらく先ほどの3本角の樹は機械生物だ。

狼が時間停止のようになっていたことからわかる。

ナマモノは捕食対象にならないからだ。

 

あの狼はあのあとどうなるのだろうか

帰りに見に行ってみよう。男は思った。

 

男は始まりの渓谷をどんどん突き進む

機械樹は点在しているが一定の数で固まっている

そして川から離れたところに多い

やはり機械は水が苦手なのだろうか

だが北の森はど真ん中に川が流れていた

ナマモノの樹に譲っているのか

なんとも不思議である

 

そうこうしているうちに渓谷を抜けた

どうやらずっと上ってきたようだ

標高がそこそこ高いようである

南の景色が一望できた

 

一面の緑色である、南は全部森のようだ

空気がおいしい、生物樹がある証拠だろう

風が軽く感じる、さわやかな心地よい風だ

深い森は途中で途切れており、その遠くに海が見えた

確定だ、ここは島なんだ

半島でもない、一番奥の森の向こうに海が見えている

どうやら四方を海に囲まれている完全な島のようだ

そして、ちょうど南南西のあたりの地平線にうっすらと島影が見える

あれは大陸だろうか、それとも島か

男は新たな島の発見に鳥肌が立った

 

だがほとんど見えない、むしろ見間違いかもしれない

男の期待感が見せる幻想の可能性もある

一旦落ち着こう、男は目の前の森に目を向けた

一面森のようだがよく見ると黒い森と緑の森のグラデーションのようになっている

ほとんど色の違いはないが、ずっと機械樹の森にいた男からすると、

もはや生物樹のほうが見慣れないためよくわかる

 

ということは、、男は後ろを振り返る

今まで歩き回ってきた北の大地が一望できた

やはりこちらも海に囲まれている

そして自分の足で回ってきたとおり、島の北東は草原、東は黒い森、真ん中を川が通る

実にわかりやすい地形である、ただ、丸い島と思っていたが、少々ひし形に近いように見えた

北東の角が遠い、北西は手前だ、対して南は南西が遠く、南東は近い

ここで全体像がつかめたのはでかい、動きやすくなる

そしてこの南をどうにかすればこの島は安泰だという確信を得ることができた

ただの感覚だが、南の方が標高が高いようだ、高原とか台地というのだろうか

湿気の多い北と比べて、南は軽やかな風がずっと吹く、生物樹があるからだろうか、過ごしやすそうだ

 

男はさらに山を登る

 

てっぺんまではいけないが行けるところまで行ってみた

 

よく景色がみえる

 

そこで気づいたのは、ところどころに山があること、丘といった方がよいだろうか

これは全容を把握するのはなかなか時間がかかるだろう

 

男はその場に座り込み、今後の策を練る

 

まず必要なのは情報収集だ

猿軍団は目立つ、小型機械獣の偵察隊が必要だ

全体を把握し、狼と竜の居場所を突き止める

ただ全滅が目的ではない、目的は抑止だ

要は攻めてこないようにさえできればよい

全滅させるのはかなり時間がかかるだろう

狩りにできたとしても、こちらもそれ相応の被害を受ける

そんなにまでしてお互いボロボロになる必要はない

条約…話し合いはどこまで知能があるか不明だからわからないが

ある程度南に侵攻し、それなりの領土を奪ってから、交渉に移りたい

こちらにも能力があることを見せつけねば、相手からは永遠になめられてしまう

いじめを解決する一番手っ取り早い手段はいじめられている子がブチ切れることだ

そしてこいつに手を出すと後が怖いと思わせることで、今後の攻撃を防げるはず

まあ逆にいじめの手段が陰湿になったり、居場所がなくなるかもしれないが

ダイレクトアタックがなくなるだけでも成果と呼ぶしかないだろう

 

どこが相手にとって獲られると痛い場所なのか

現状では判断できない

やはり情報か

 

男はそうつぶやき

北の森へもどった

 

 

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