晴輪物語【始記】50 増援

観光

北の森は大混戦の様相を呈していた

機械兵士40体と自警団と森の連合がバラバラに散って戦っている

もう組織的な戦いではない、みな個々で戦っている

かろうじて4人組が保たれているようだが、第二波の影響でこちらが不利だ

押さえれている、そもそも単体の攻撃力なら兵士が圧勝なのだ

だから4人一組で当てている

だが相手が1体でないならそれも成立しない

バタバタと森の戦士たちが倒れていく

男には焦りが出始めていた

 

ここで食い止めるだけではだめなんだ

指揮官を引っ張り出して、打ち取る必要がある

そのためにはここでいい試合をしている場合じゃないのだ

 

すると山側の戦場がにわかにざわつき始めた

救援か?と思い様子を見に行くと、そこには第三波の機械兵士達が山から駆け下りているところ

だった

 

「最悪だ…」男はつぶやいた

このままだと押し切られる、ここで全滅するともう後がない

男は数人の猿と共に直接第三波を受け止めに向かった

山を下って勢いのある兵士はそのまま戦場に躍り込む

実にやっかいである

男は例の剣で駆け下りてきた兵士を3体切り伏せ、さらに4体切った

だがまだたりない、何体下りてきた?50か?多すぎる

南の森にいた時は10体くらいしかいなかった

どこにこんなたくさんかくしていたのだろうか

男は続けて切りまくる

次第に的の大きな猪が兵士によって駆逐されていく

こちらの攻撃の要が減っていく

 

ああ…まずいな

 

その時、また遠くの戦場がざわつき始めた

今度は第4波か、、、この畳みかけはキツい…

慌てて向かうとそこには兵士を枯れ枝のようにぶんぶん振り回す巨大な影があった

まさか…ドドフンヌ!?

 

小鹿が土埃の中から現れて報告する

「ただいまドドフンヌを連れてきました!」

「ありがとうーー!!!」男は叫んだ

 

「真樹様からの伝達をうちのミナも聞いていたようで、正直探すとか説得とかはしてないです笑」

ドドフンヌはすでにやる気満々だったようだ

 

「じゃあ時間がかかったのは…?」

「それは…」小鹿がドドフンヌの後ろを見る

 

「群れを集めていました!」小鹿はエヘンと鼻高々だ

 

ドドフンヌの暴れる後ろから立派な角を持った鹿の大群が波のように押し寄せてきた

兵士達を飲み込みながら新たな戦場を形作る

 

「こんなにいたのか…森の中に」男は驚愕する

こんな数の鹿を今まで森で見たことがなかった

森でよく見るのはむしろ単独行動の鹿たちだ

ドドフンヌしかり、そもそも群れで見かけたことがない

 

男の呆然としているその様子を察してか小鹿が解説を始めた

「実は我々鹿族は生まれてすぐこの森を出て狩りを学ぶんです、北西の草原や森、南にも行きます

その中で野生生物と戯れながら、文字通りナマの狩りを学ぶんです、

同時に森の外で同胞が息絶えるのを防ぐ狙いもあります、

死にかけの仲間がいれば助けて森へ連れ帰るのです

だから鹿族のほとんどは森にいません、ミナは今回外にいる仲間を呼んで協力してもらったのです」

 

男は興奮した

これぞ自分が知りたかった生態そのものなのだから

 

この戦力は心強い

戦は一気に森衆の優勢となった

 

ところがまた増援が来る

山を下ってきた第五波だ

だがただの増援ではなかった

こいつらは背中に小さな生き物がついていた

そうエンゲツである

 

指揮官は悩んでいた

男を追って北の森に進むのはいいが、得体のしれない樹に足止めを食らっている

そこへ指揮官へ声をかけるものがいた

「お手伝いしましょう」

 

指揮官は大いに疑った

「貴様何者か?どうやってここに入ってきた」

 

「あなたは取引を持ち掛ける相手を間違えました

我々なら十分すぎるほどあなたの力になれます」

 

「誰だ、そんな小さい体で」

 

「しいて言うなら、情報屋というやつでしょうか、

あなたが知りたいのは、男の所在と地上の状況でしょう」

 

「続けろ」

 

「男は現在北の森の真ん中あたりにおります、現在仲間と共にあなたの兵隊たちと戦闘中、

地上はすべてあなたの敵です、先ほどの男とあなたの会話は島中に聞こえてしまっています」

 

「ほほう…なにを根拠に」

 

「この島には神の樹とかいうものが存在します、その場所をお教えしましょう、

あなたの触手を足止めしているのはその神の樹です」

 

「わかった、して見返りは?」

 

「我々を北へ送り届けてほしいのです」

 

「何が目的なんだ?」

 

「私たちには力が必要なんですよ…」

 

「まあよかろう、兵士達の肩に乗っていくがよい、途中までは送ってやる」

 

「ありがとうございます」

 

「あんなに良くしゃべる機械がいるのか、気色悪いな」

 

「お互い様です」

 

 

 

 

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました