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晴輪物語【始記】49 北の森の戦い | 晴輪物語

晴輪物語【始記】49 北の森の戦い

観光

渓谷には大小さまざまなキノメヅがいた

さらに渓谷の壁の方にも張り付いていた

上の方にもいる

狼が言う

「渓谷は任せよう、我々は山を越えて北へ向かう」

男はキノメヅに礼を言い、狼の背に乗って山を登る

 

指揮官はまだ船の中にいた

先ほどの根を見てから、自分にもできるのではと思いやってみたが

思いのほかうまくいった

まずはあの男を探すことが先決だ

あいつを始末しないと、自分との会話が外に漏れることになる

それはいと具合が悪い

どうせ吸収するなら、のんびりしているところを襲うのが一番簡単なのだ

 

地下の船体を少し拝借し、触手を地上に出す

男を探す

同時に兵士達を総動員、男を探して殺す

 

すると早速兵士より報告が入った

実に優秀である

 

そちらへ全戦力を投入する

だがどうやら何者かに邪魔されているようだ

なんだこいつは?恐竜か?

地上にはこんな生物がいるのか

ここはいつの時代なんだろうか

とにかく、男を探そう、この恐竜はいいサンプルになる

 

あと少しで捕まえられそうだったのに

直前で何かの攻撃を受けた

地上はどうなっているんだ、墜落当時と状況が違いすぎる

 

指揮官は兵士に命令を出す

「散開、南を背に東西に広がれ、北へ上がりながら男を捜索し拘束せよ」

 

一方男は狼の背に乗って山を疾走していた

以前登った時より断然早い、もう山頂である

一瞬止まって男を振り返ってから、狼は飛んだ

まるで落ちるように麓を目指す

 

雪山を滑るように下り、木々をよけながら華麗に進む

早くも北の森についた、山の麓である

早速伝令鹿が現れる

男は鹿へ指示を伝える

「ワコと小鹿に伝令を飛ばせ、オオヅツとドドフンヌの現在地を把握しろ

残りは川の基地に集合、迎撃準備を整える」

 

鹿はきりっとした表情でうなづき、反転して森の奥へ消えた

 

男は川の基地へ狼と共に向かう

だが男は正直言って作戦が浮かばない

おそらく船の前から北の森にかけて、伝令を点在させていたはず

そして戦力も移動するであろう道に点在させていたはずだ

まずいな、指揮官につかまって以降、指示が出せていない

現状のままだとすればほとんどは南に置いてきたことになる

渓谷にはキノメヅがいるから再集合は厳しい

先ほどの鹿は北の森に残した僅かな部隊だろう

さてここからどうするか…

 

狼の耳がぴくっと動く

「何か来る」

 

男は狼の方向を見つめる

森の奥から現れたのはジトメザルの長だった

「タアシエ、よくご無事で…」

 

そうだった自分はジトメザルの長になったんだった忘れていた

だったらこいつは副長とでも呼んでおこう

名前を考える時間がない

 

「副長、現状を教えてくれ、北の森の」

 

「タアシエ、真樹様のご指示で自警団は北へ集合しています。

ここから北へ少し行ったところです。」

 

「え?真樹が?いつのまに?」

 

「あなたが暗い底に入って、親玉と問答をしているの私たちみんな聞いてました

そのあと真樹様が森の全員に指示をしたのです、北で迎え撃つ、集まれと、

ワコ様とそのお友達はいまそれぞれの長を探しに行ってます、まだ見つからないそうで…」

 

「そうかありがとう、あの老木、全部指示済なのかよ…」男はつぶやいた

 

「おい、あまり我らの真樹様をけなしていると食うぞ」狼が注意する

 

「お、おうすまん、ではその集合場所に向かおうか」男は早口で狼に行った

 

集合場所には大勢の猿と自警団一同がいた

全員に武器はいきわたっていないため、みんな素手で戦うことになる

 

男は倒木の上に立ち全員を眺めた

自然と皆が男に注目する

 

「みんな聞いてくれ!南にいる地下の機械は島ごとすべて吸収しようとしている

それぞれの種族が、森や狼や熊や猪や雀、鹿たちが…長い間今まで紡いできた歴史を無視して、

やつらはまた昔の姿に戻るために、お前らを部品として回収しようとしている

そんなの許されるはずがないだろう!これはもとの母船の姿に戻ろうとするあいつと、

今のそれぞれの形を保つための生存競争だ、負けたほうが吸収され、糧となる、

お前たちの生きてきた証を今こそ見せつけてやろうじゃないか、何億年も引きこもっているやつよりも

外に出て冒険してた俺たちの方が何百倍も強いってことを、あのもやし野郎に叩き込んでやろう!

これが俺たちの進化なんだと!」

 

雄叫びが上がった

各々のやり方で歓声を上げていた

森はざわざわと葉を振り、各種族も自分たちなりに叫んでいた

 

とそこへ、雀が飛んでくる

「渓谷を兵士が突破、来ます、数は10!」

 

キノメヅがどれだけ止められたかはわからないがここからが本番である

 

「入ってきたぞ、戦闘開始だ!4人一組で1対倒せ!

確実に一体ずつ倒すんだ」

 

実は渓谷はすさまじい状況だった

キノメヅがどういう存在か不明な兵士達は、ただの樹だと思って素通りする

ところがなぜか動けなくなるものが続出し混乱が起きた

そこですでに動けないものの頭を踏み越えて飛んだところ、

さらに渓谷の上で張っていたキノメヅに仕留められるという状況で

兵士達は全く通れない状態だった

通過した10体は山を越えてきた者たちであり、指揮官は渓谷を越えられないと判断していた

 

兵士は静かな足取りで北の森を歩く

ふと上を見ると、猿が石を持って頭に叩きつけてきた、

注意を上にそらされた一瞬のスキをついて地面から二匹別の猿が現れ

足を獲る、転んだところを猪がタイミングよくタックルをかましてようやく一体を始末した

 

こんな調子で森は阿鼻叫喚の地獄絵図となった

至るところで殴り合いの争いが始まっている

兵士にとっては自分より小さい体の猿は対処しずらいと見える

また猿たちも木に登ったり多彩は技を見せているため厄介だ

そしていくら兵士が頑丈でも猪の突撃には耐えられないようだ

岩に叩きつけられ潰れる兵士が続出した

だが兵士も負けてはいない

素でとはいえ圧倒的な素早さと力を持っている

手刀で猿を切り、拳で猪の頭をつぶすなど意味不明な馬鹿力だ

こちらも大きな犠牲が出そうだ

男ももちろん参戦している、例の刀でばっさばっさと切りまくり

すでに4体は倒した、まだまだだ

とここへ、雀が飛んでくる

「第二波来ます、数は30!」

増えてるじゃねえかよ

 

また山を越えてきた兵士達

もう渓谷は抜けないと悟ったようだ

若干こちらが優勢だったが、第二波でわからなくなった

 

 

 

 

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