男は探検に出る前に考えていた。
これから先のことを。
正直、自分が救助されて元の生活にもどれるとは考えていなかった。
もうそこはあきらめていた。
最初に見上げた夜空にその希望は吸い取られてしまった。
ではどうするのか。
生き残ることが第一目標である。
そのためには現状把握が最も大切だ。
そして自分の生活を豊かにしていくことも必要だと思う。
だって備えや蓄えや色々と揃ってないと、身を守ることもできない。
戦う術がない。身を守る方法がない。
探検をすることで、現状把握ができると考えていた。
無知は罪である、特にこういう状況では。
あきらめて座り込んだそのすぐそばに、川が流れていることだってある。
水は探し続けなければ見つからない。
地道こそが近道である。
急に冷蔵庫やテレビが得られ、快適なソファでおいしい食事が取れたら苦労しない。
これを実現するのは背伸びをするのではなく、地道に積み上げていくことが重要だ。
つまり、文明をたどるのである。
幸い歴史は少し知っている。
石器時代から急にインターネットは作れない。
石器時代を模倣する。
ここで生活の基礎を作る。
石を削り、自然と共に生き、この世界を知る。
美しい剣を作る技術なんぞ突然得られない。
あれは、何千年と積み重ねられてきた研鑽の上に成り立つものだ。
男は生き残るために、地道な努力をすることを決めた。
これを繰り返していくことで、いつかとんでもないものを生み出せると信じている。
多少なりとも歴史を知っているのは、ある意味とても強い。
知っている知識・経験を総動員して、男は生きようとする。
どんなに時間がかかっても、生き残ってみせる。
まずはそれからなのだ。

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