晴輪物語【始記】31 先遣隊日報

観光

始まりの渓谷

渓谷に少し入ってから横に陣を敷いた自警団先遣隊は緊張していた

なにせ初陣である

しかも編成完了後、即戦場へ投入されるという展開である

 

狼と竜は夜に来ることが多い

渓谷をまっすぐ下って北の森に突撃すてくるのはだいたい竜で

山を登って裏から回ろうとしてくるのが狼である

 

つまり、先遣隊は全く防御できていなかった

どこから湧いてくるのかといわんばかりだった

普通、渓谷に陣取っていれば、少数で守れるはずだった

少なくともあの隊長らしき男はそういっていた

全然ちがうではないか

なんてことだ

 

唯一の救いは、あの動く木だ

北の森では見たことがないが、守り人の樹から話に聞いたことがある

この森の木々は、皆昔は獣だったと

 

最初は生きているものを真似していたが、徐々にいなくなってしまった

見本がなくなった我らの先祖らは、自分なりに形を作り、生き続けようとした

その結果異形のものたちがひしめく時代が興った

 

その戦いを乗り越えたからこそ、今の森がある、と

南からくるものたちは、我らの同胞のはずだ

だが、なぜか、違う生物に見える

あの男がいうように、こちらを侵しにきているのは間違いなさそうで

実際仲間がかなりやられた

我々はこの森を守る

よそ者なんぞに壊されてたまるか

 

竜と狼たちには、北の森にあるものがない

あれはなんと呼んだか、そう、秩序とかいうやつだ、

意味は分からないが、なんでもありという感じ、秩序がもっていないようだ

 

それにくらべてこちらはちゃんと戦っている

森を守るために、仲間を救うために

 

にしてもあの木はなにをしているのだろう

何匹か狼や竜が、あいつに呼び止められている

あいつに声かけられると、動けなくなるようだ

お話しているようにも見える

なにを話しているのだろう

 

けどあいつはこわい

なにか言っているが、ぶつぶつと、聞こえない

おなじ生き物とは思えない

 

本日の敵戦力

狼3

竜4

西の山影より狼2、東より狼1、迎撃、撃破

正面渓谷より竜4、うち1は声かけに合い行動停止、3は迎撃、撃破

当方被害なし

 

報告終わり

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