男と竜は南の森を走る
真樹の森を出てすぐ、地響きがしたと思ったら、南の空から
なにやら細長い触手が生えてきた、空の上でうねうねと大きな樹のような塊になる
あれがじじいの言っていた船衆の根っこだろう
根っこは空に伸びたと思いきや勢いよく森に向かって突き刺さってきた
どうやら何かを探しているらしい、いやオレをか
男は竜の背に揺られながらのんきに南の空を眺めていた
どうやらまだ指揮官にはばれていないようだ
ばれていたら、まっすぐ根が飛んでくるところだ
さらに指揮官の根はこちらに進んでくる
まるで他人事のように空を眺めていると、森の陰から飛びかかってくるものがいた
機械兵だ、なんでこんなところに??
間一髪で避けた男はうっかり竜の背から落ちてしまう
ゴロゴロと地面を転がり立ち上がると兵士がこちらへ向かってくる
男は慌てて刀を抜く、すると、妙な力が湧いてきた
そして今まで早くて見えなかった兵士の動きが少し見えるようになった
わずかな違いだが効果はてきめんだ
男は襲い掛かる機械兵の腕を切り落とし、さらに首を切った
すごい、なんでか知らんが今まで手も足も出なかったのに戦えている…!
なんだこの刀は、おかしいぞ
急いで竜の背にのりまた走り出す、これで居場所がばれた
急いで走るが先ほどの触手の樹は明らかにこちらに向かっている
懸命に走る竜、男はずっと後ろを見ていた
奥の暗闇から何かがくるような気がした
暗闇から出てきたのは無数の触手である
ついに指揮官に居場所がばれたようだ
しかしあっという間に見つかってしまった
なんの時間稼ぎにもならん、おそらく先ほどの兵士が死に際に伝達したのだろう
なんと忠義のある兵士か
男はまた刀を抜く、今度は振り向きざまに刀を振り下ろし、触手を切る
竜も頑張って走っているが触手の速度が速い
そこへ森の中から黒い影が飛び出してきた、男はまた機械兵士だと思った
だがそれは狼だった、大きな黒い狼、狼王の使いだという
使いは男に大声で言った
「遅い!乗れ!」
男は頑張ってくれた竜にお礼を言い、狼の背に飛び移る
狼は道から外れて森の茂みに飛びこみ、バサバサと葉や枝をへし折りながら森を爆走する
触手は折ってこなかった
それもそのはず、男から解放された竜は後ろを向き、触手を迎撃していた
さらに狼の増援も着て、触手と竜・狼の戦いが始まっていた
しかし、目ざとい触手もいたものである
細目だが着実に男を見つけ追いかけてくる
また男を狙う触手がものすごい速度で男に近づく
男は振り返るともう目の前に触手はいた、口を開けて刃を出す
男を食い殺す気だ
だがそこをブンッと何かが通り、触手の先に命中、爆発する
機械蜂である、彼らは音速で飛ぶことができ、その捨て身の攻撃はかなりの破壊力がある
文字通り捨て身なのだが、それだけに触手はひるむどころか吹き飛んで消えた
男は様々な森の仲間に守られながら、森をひたすら北へ進んだ
そしてついに渓谷の南口へたどり着く
そこにはなぜかいつもより多めにキノメヅたちがうようよしていた

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